こんにちは!「アマチュア漬け物研究家・漬けもナー」です。
今回はレポート形式で、勉強したことを少し紹介させてください。
「漬け物研究家」を名乗るのなら、たとえアマチュアでもきちんと学ばないといけないのです。
ときどきこうしてお勉強回を更新していきたいと考えているので、お付き合いいただければなぁと思います!
野菜だけじゃない!意外に広い漬け物の種類
さて、最初のテーマは「漬け物の分類」についてです。
みなさんは、漬け物と聞くとどんなイメージを思い浮かべますか?
沢庵漬け、キュウリの浅漬け、野沢菜漬け……
このあたりがメジャーな漬け物だと言えるのではないでしょうか。
僕は居酒屋に入ると、まずメニューから漬け物を探すのですが、だいたいどのお店も「キュウリの一本漬け」や「ナスの浅漬け」などを用意しています。
大学生の頃から、みんながフライドポテトや唐揚げを頼むなか、僕は
「漬け物も頼んどいちゃおうぜ?」
みたいなノリで、さり気なく、というかゴリ押しで自分の好みを滑り込ませていました笑
意外にも
「おっいいね!」
と喜んでくれる仲間もいて、若い世代に漬け物好きがいると不思議な連帯感を覚えたものです。
話がそれましたが、「漬け物と言えば野菜」というのが一般的に持たれているイメージだと思います。
ところが、居酒屋の場で
「えー漬け物ぉ?渋い……」
と不満そうな友人が頼んでいた辛子明太子。
それも漬け物なのです!
スケトウダラの卵巣を唐辛子のピリッと利いた調味液に漬け込んだものが辛子明太子なので、これも立派な漬け物の一つだと言えるでしょう。
けれども
「それも漬け物だよ」
と口を挟んだら、僕ごと漬け物まで嫌われそうなので、余計なことを言うのはやめました笑
このように、漬け物があまり得意ではない人でも、さまざまな形で日常的に触れているのです。
知れば知るほど奥が深い!漬け物の分類方法
ここでは、大きく分けて3つの分類方法についてまとめていきます。
1.漬ける材料で分類する
漬け物にできる材料は数知れず。今のように流通ルートが整うまで、漬け物はもともと優れた保存方法として発展していきました。そのため、長い歴史のなかで、さまざまな食材が漬けられています。
・葉茎類
まずはメジャーな葉茎類の漬け物です。これには、さらに細かく「葉菜類」や「茎菜類」などの分け方があるのですが、一旦省略します。葉茎類の漬け物には「白菜漬け」や「野沢菜漬け」などが入ります。食卓にあがる機会も多く、漬け物と言えば真っ先に思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。「ザーサイ」や「ラッキョウ漬け」もここに分類されますね。
・根菜類
続いて、こちらもメジャーな根菜類の漬け物。大根やニンジンをはじめ、ゴボウやカブなど、歯ごたえが特徴の漬け物に仕上がります。ショウガは根菜類の漬け物に分類されるみたいですね。僕は野菜に関する知識が不足していて、初めて知りました……
・果菜類
ナスとかキュウリがこちらに分類されます。しっかりとした果肉感があり、食卓の主役になれるほどのポテンシャルを秘めた漬け物へと仕上がるのが特徴です。
・海藻類
「めかぶの醤油漬け」などが代表格です。昆布、のりなど食材そのものが豊かな味わいを持っていて、個人的には日本酒に合う率が高いと感じています。旅行に出かけたとき、
「あー今遠出してるんだな……」
と実感させてくれるのが、その土地固有の海藻類の漬け物に出会った瞬間ですね。完全に主観ですが笑
・魚介類
魚介類の漬け物は、国土を高い山に分断されている日本人にとって、長期保存という観点から生まれた智慧の結晶だと言えます。
これによって、海から離れている内陸の地域でも魚が食べられるようになり、漬け物という文化の偉大さを実感させられるばかりです。
「タラの粕漬け」や「サバのへしこ漬け」など、どれもが個性的で味わい深いものとなっています。
・肉類
肉類も漬け物になるのです。こちらも歴史的には保存食としての側面が強く、さまざまな地域で発展しています。
代表的なのは「牛肉の味噌漬け」などで、漬けることによって独特のまろやかさが生まれたり、肉そのものが柔らかくなったりするのが大きな特徴です。
2.漬け方で分類する
漬け物において重要な要素は、材料だけではありません。どんな漬け床や調味液を選ぶによって、味わいには大きな変化が生まれるのです。ここでは代表的なものをさらっていきたいと思います。
・塩漬け
もっともポピュラーと言えるのが、この塩漬けです。「白菜漬け」や「野沢菜漬け」、「ラッキョウの塩漬け」など、純粋な野菜の味わいを楽しめるのがこの漬け方だと言えるでしょう。
人間の歴史において、塩はとても古くから重要な役割を担ってきました。それとともに、食料を保存する方法として、漬け物も発展してきたのです。
・醤油漬け
以前のブログで紹介した、東海漬物さんの「きゅうりのキューちゃん」は、この醤油漬けにあたります。ほかにも「しょうがの醤油漬け」や「しその実漬け」など、塩漬けにはないコクのある味わいが魅力的なものが多いです。
・ぬか漬け
キュウリや大根、にんじんなどを米ぬかに漬け込んで作る方法です。肉や魚、卵といった食材も漬けることができ、乳酸菌の発酵によって食材の味は魔法のように変わります。
僕も以前はぬか床を育てていて、世話の大変さと美味しく漬かったときの嬉しさを味わいました。
・粕漬け
酒粕やみりん粕などに食材を漬ける方法で、古くは平安時代前期に書かれた「延喜式」(905~927年)のなかにも記述があります。
代表的なものは、何と言っても「奈良漬け」です。独特の甘さと鼻に抜ける香りが、お茶うけにピッタリだと言えるでしょう。
・酢漬け
塩だけではなく、お酢にも防腐効果があり、さまざまな食材が漬けられてきた歴史があります。野菜であればタマネギや大根、ラッキョウなどがメジャーで、魚もイワシやアジといった傷みやすいものが酢漬けにされているのです。
「ピクルス」も酢漬けの代表格だと言えるでしょう。トマトやパプリカなどの彩り豊かなピクルスは、見ているだけでも気分が高揚します。
漬け方には、このほかにも「味噌漬け」や「麹漬け」、「からし漬け」などのさまざまな方法が存在しています。
塩や味噌などを見ても、その土地ごとに味わいには特徴に違いがあるので、食材の種類とかけ合わせると膨大な可能性を見出すことができるのです!
3.乳酸菌発酵の有無
最後に、乳酸菌発酵について少し触れてみます。漬け物には、大きく分けて「乳酸菌発酵による味付け」を狙ったものと、「調味による味付け」を狙ったものがあるのです。
乳酸菌発酵が大活躍する漬け物と言えば、「キムチ」や「野沢菜漬け」、「白菜の塩漬け」などがあげられます。
スーパーなどでキムチを買ったとき、寝かせる時間に応じて味わいが変化する説明がされているのを目にしたことはないでしょうか?
これは、乳酸菌発酵によって、大きく味わいが変化するためなのです。僕はこれこそが、漬け物の醍醐味だと感じています。
「漬け物は生きている」
というのを実感するのです。
一方で、乳酸菌発酵の起こらない漬け物の代表は「梅干し」です。漬けるときに使う塩や、梅が持つクエン酸のなかでは、微生物が生育できずに死滅してしまうのです。
そのため、梅干しは重要な保存食として、また身近な薬としても重宝されてきました。
梅干しは梅を塩漬けにしたうえで、乳酸菌発酵の起こらないもの。沢庵漬けは大根をぬか漬けにして、乳酸菌発酵を起こらせたもの。といったように、おおまかな分類ができるのです。
いかがでしたでしょうか?
今回はお勉強ということもあり、少しボリューム感のある内容になりました。
これから、漬け物を買うときには、こうした分類を思い浮かべながら選んでみるとより楽しくなるでしょう。
当ブログでも、この分類をもとにカテゴライズしながら、できるだけ見やすくなるように工夫していきたいと思います!