30男の漬け物ブログ

各地の漬け物や商品のレビュー、漬け物の歴史などを辿りながら魅力に迫るブログです。

【勉強回】押さえておきたいキムチの日本と韓国の違い

みなさんこんにちは!「アマチュア漬け物研究家・漬けもナー」です。

 

最近、僕は暇なときに料理アニメ『美味しんぼ』を見ています。

この作品、僕は世代的にどんぴしゃりというわけではないのですが、バブル期の日本へタイムスリップできるような感覚にはまってしまいました!

 

料理で問題が起こり、料理で会社の悩みを解決し、料理で男女が結ばれていく」筋金入りの料理漫画でもある『美味しんぼ』は、主人公・山岡士郎が勤める「東西新聞」を主な舞台に、さまざまな料理にまつわる人間ドラマが起こります。

 

そして、そのなかにやっぱりありました!漬け物をテーマにした回!

 

その名も「キムチの精神」というタイトルです。

 

キムチにまつわる日本人の勘違い

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キムチは韓国の大事な文化だ!

この回は山岡士郎の上司、トラブルメーカーの富井副部長が、いつも通り大きなトラブルをやらかすところから始まります。

 

東西新聞が韓国の企業と韓国文化紹介の本を共同出版するにあたり、相手側を呼んで記念祝宴を開催した席でのこと。

富井副部長は韓国式のマナーをわきまえず、目上の人に数々の失礼を働いてしまいます。

 

完全にアニメに入り込んでいた僕は、

「こりゃダメだ……

とひやひやしながら見ていました。

 

すると、とうとう堪忍袋の緒が切れた相手企業は、共同出版の件を白紙に戻そうとしてしまいます。

 

その引き金となったのが、東西新聞側が用意したキムチだったのです。

 

ここには、日本人がキムチに関して抱く大きな勘違いが潜んでいると言えるでしょう。

 

唐辛子の赤色は本来のキムチの色ではない

 

古来、キムチに唐辛子が使われることはありませんでした。

塩をベースにショウガや山椒、タデにニンニクといった薬味を使い、じっくりと乳酸菌の発酵を生み出すのが本来の漬け方だったと言われています。

 

それもそのはず、韓国に唐辛子が伝わったのは、17世紀後半と最近の出来事です。

しかも、南米原産の唐辛子は、先に日本に伝わってから朝鮮半島へと広がっていきました。

 

唐辛子の効いた激辛のキムチは、本来の韓国文化のものではないのです。

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日本のキムチと韓国のキムチの大きな違い

 

1.発酵の有無

大きな違いはズバリ「発酵の有無」ですね。

韓国のキムチは、先ほども書いた通り、乳酸菌の発酵による味わい深い酸味が何よりも重要です。

 

そのため、発酵していないものはキムチと名乗ることができません

 

けれども、日本のキムチは、発酵が起こる前の浅漬けの状態で売られているものもあります。

日本人の好みに合わせて、酸味を抑えたアッサリとした漬け頃で提供されることが多いのです。

 

2.唐辛子の品種

もう一つ、違いとしてあげられるのは、使われている唐辛子の品種です。

日本で使われているのは「鷹の爪」であり、辛みの強いこの品種が使用されることで、キムチにはガツンとした辛さが生まれます。

 

韓国でキムチ用に使われているのは「五色」という品種で、鷹の爪よりもまろやかな辛みが大きな特徴です。

 

乳酸菌発酵の有無と唐辛子の種類。この違いが、それぞれのキムチの味の違いを際立たせていると言えるでしょう。

 

一言で言うと、日本のキムチはとにかく辛い。韓国のキムチは酸味のほうが強いといった感じです。

 

ちなみに、『美味しんぼ』の放映から30年近く経過した今、日本にも乳酸菌発酵が行われているキムチはたくさん売られています。

ラベルを見れば一目瞭然。浅漬けのものと乳酸菌発酵しているものの違いはすぐにわかるでしょう。

 

なかには、購入してからの日数によって、変化する味わいについて書いてくれている親切な商品もありますよ。

 

僕は乳酸菌発酵の酸味が大好きなので、キムチを買うときにはいつも気にしています!

 

 

富井副部長が相手方を怒らせてしまったのは、まさにこうした勘違いがあったためだと言えるでしょう……

 

 

でも、韓国文化を紹介するという形で会っちゃった以上、ちゃんと理解しておいてくれよという相手の言い分もわかります。

 

この結末は、どうぞ『美味しんぼ』本編を見て追いかけてみてください!

 

知ってお得なキムチの漬け方

 

最後に、知ってお得なキムチの漬け方について見ていきましょう。

どんな風に得するかと言われると困ってしまいますね。

 

食べるときにより美味しく味わえるというだけで、僕にとってはもうお得なのです。

ここでは、代表的な白菜キムチの漬け方を追いかけます。

 

下漬け

 

4つに割った白菜を漬け床に一晩漬ける作業です。

漬け床には2~3%の塩と、唐辛子やニンニクなどの薬味、イワシの塩辛の水煮などを使います。

白菜と同じ重さの重石を使うことで、一晩でもしんなりと漬け上がります。

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本漬け

 

さて、下準備が済んだらいよいよ本番。

材料の配合は各家庭やお店によって千差万別であり、ここにキムチの味の個性が表れます。

 

僕がバイブルとして読んでいる小泉武夫さんの『漬け物大全』という本には、

 

・下漬けした白菜10キロ

・唐辛子粉100グラム

・ニンニク300グラム

・ショウガ300グラム

・ひこイワシの塩辛300グラム

・水1.5リットル

・食塩50グラム

 

といった一例があげられていました。

 

うちのおばあちゃんも自家製キムチを漬けていたのですが、そこにはイカの塩辛がふんだんに使われていたような気がしますね……

 

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これらの材料を白菜の葉を一枚ずつめくりながら、丁寧に挟み込んでいきます。

 

発酵

 

キムチは漬け込んでから翌日には早くも発酵が始まります。

そのため、次の日に食べても特に問題はありません。

 

けれども、本格的な発酵の味わいを楽しむためには、3日くらい寝かしておきましょう

乳酸菌発酵が進んで、すっかり酸味が白菜にのっかります。

 

 

鍋や麺類、チャーハンなど、さまざまな料理に使うことができるキムチ。

個人的にはやはりしっかりと発酵の進んでいるものが好みです。

都内には本格的なキムチを売っているお店も数多くあるので、冬の間に食べ比べしてみたいと思っています!